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あの日の沖縄

1954年7月4日 プラザハウス設立

 1954年(昭和29)7月4日、香港籍のローヤル・トレーディング・シンデケイト株式会社(以下「ローヤル・トレーディング」)が、コザ市(現・沖縄市)で商業施設「プラザハウス」を設立しました。在沖米軍やその家族を客層に開業したプラザハウスは、珍しい外国商品専門のショッピングセンターとして注目されました。
 米国施政権下にあった沖縄では、琉球列島米国民政府(USCAR)が外資導入政策を進めていました。ローヤル・トレーディングに交付された特別外資導入免許(以下「特免」)は、民政府布令第90号「琉球列島における外国人の投資」改正第2号(1953年11月9日)第11項に規定された首席民政官権限によって交付されたものです。
 琉球政府文書の中にローヤル・トレーディングの「外資導入免許関係書類」があります。この簿冊には、プラザハウス開業にあたっての申請書や、同社が経営するプラザハウス内のセレクトショップ「ロージャース」に関する書類、琉球東急ホテル関係資料一式が含まれています。

 

1954年に交付された特別外資導入免許証『外資導入免許関係書類 ローヤル・トレーディング・シンデケイト FIB-541 【R00065633B】

西洋式小売百貨店経営と洋裁業務、貸店舗業に対する免許(第143号)
自動車を含まない物品の卸売業に対する免許(第144号)

 

米国収集写真資料の中にかつてのプラザハウスを見ることができます。

新しくできたプラザハウスデパートに買い物に出かける米兵 1954年 7月20日 【0000112227/08-09-4】

 特免業者は、事業所設置場所や顧客制限などの制約も受けるいっぽうで、非課税特恵を得ました。地元業者は「琉球内の物品税が高率なため、免税品とは太刀打ちできない」「外国人客が特免業者に流れて経営に打撃を受けている」などと訴え、琉球政府と琉球商工会議所は、USCARに対して、特免制度の廃止を求めました。この陳情を受けて、民政副長官オグデン少将は、1954年(昭和29)7月29日に「特免に関する訓令」を発し、外資導入は1956年(昭和31)7月31日までに合同審議会による免許制に統一すると通達しました。

   
外資導入免許による規制について(琉球政府通産局通商課文書1966年7月28日決済)
 ローヤル・トレーディングは顧客を「非琉球人」に限定していましたが、1966年(昭和41)7月16日付の書簡で顧客対象規制の解除を願い出ました。琉球政府は、ほかの百貨店には顧客対象規制がかかっていないこと、また同社における地元の顧客は希少であり地元経済に打撃を与えることはないと判断し、「琉球人及び非琉球人を対象とする」ことを認めました。
 プラザハウスは現在も同じ場所で営業しており、異国情緒ある雰囲気が人気を集めています。
【参考文献】
・「沖縄における外資導入制度 1967年8月31日」(1967年 琉球政府総務局渉外広報部渉外課)
・琉球銀行調査部編『戦後沖縄経済史』(1984年 琉球銀行)