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琉球政府文書

1946~49年の往復文書(3)軍作業

1946~49年の「対米国民政府往復文書」(通称、往復文書)から、軍作業に関する文書を紹介します。

軍作業にかかる規定と労務管理

沖縄戦を生きのびた住民たちは、土地接収や軍事演習に直面するだけでなく、米軍基地や関連施設での軍作業にも従事しました。住民が基地で働くにあたっては、労働者としての登録、基地への通行証の発行など、様々な手続きがありました。

『対米国民政府往復文書 1947年 受領文書』(資料コードR00165448B)に収められている「Standard Operating Procedure for Hiring and Releasing Okinawan Labor/沖縄人労務者の雇用及び解雇に関する実施手続の基準」(1947年10月23日付)は、「沖縄人労務者」を使用する全機関に対して、雇用や解雇の方法、労務カードの取扱いなどを定めたものです。

  

上の文書は1947年10月23日付ですが、直前の10月21日には軍政府特別布告第24号「雇用と労働」『軍政府特別布告/Military Government Special Proclamation 1945年~1950年 第001号~第044号 』資料コードRDAP000032)が公布されています。また、11月17日には軍政府指令第48号「沖縄人労働者の登録」(『政府指令/Military Government Directive 1947年 第001~第055資料コードRDAP000005)も出されており、軍作業に従事する「沖縄人労務者」の扱いをめぐるさまざまな取り決めが、この時期になされていた様子がうかがえます。

また、軍政府特別布告第24号「雇用と労働」が南西諸島の住民宛て、軍政府指令第48号「沖縄人労働者の登録」が沖縄群島の知事宛てであるのに対し、上の文書「Standard Operating Procedure for Hiring and Releasing Okinawan Labor/沖縄人労務者の雇用及び解雇に関する実施手続の基準」は、「沖縄人労務者」を使用する軍の機関や業者に対するものとなっています。

 

通行証の発行

本来は立ち入りを禁じられている基地のエリアで、住民たちが働く際には、通行証の発給を受けました。

1947年4月16日付の左の文書「Off Limits Area Syukiran」は、瑞慶覧近辺区域で着工される「Military projects」についてのものです。

該当区域が示され、そこで働く作業員に、琉球軍司令部の憲兵司令官が通行証を発行するとしています。

そのうえで、作業員が滞りなく区域内を通行できるための適切な措置をとるよう、沖縄民政府知事に命じています。

『対米国民政府往復文書 1947年 受領文書』(資料コードR00165448B)

 

軍作業員の供出と割当

1948年7月19日付の下の文書「Recruiting of Native Labor」は、軍作業に従事する「現地住民労働者」(Native Laborers)の供出と割当に関するものです。

軍政府と沖縄民政府知事らの会談の結果、「現地住民労働者の募集と利用」(the recruit and utilization of native labor)について、「認識の違いがない状況に達した」( no misunderstandings existsed)とあります。

沖縄民政府知事は、労働者の人数や供出地などを軍政府に報告することとなっています。

『対米国民政府往復文書 1948年 受領文書』(資料コードR00165450B)

 

軍作業に対する賃金の遅延・未払い

こうして多くの住民が軍作業に従事しましたが、これに対する軍政府による賃金の支払いは、スムーズにはいかなかったようです。

下の文書「The Military Units Having Delayed Payment to Their Native Laborers」は、「現地住民労働者」(Native Laborers)に対する賃金が、未払いとなっている部隊についてのものです。沖縄民政府知事が軍政府副長官に対して、未払い賃金の支払いを再度要請しており、部隊名、氏名、賃金の額などが記されたリストが添付されています。

 

1947年5月24日付の次の文書「Accrued Pay for Laborers」は、賃金が支払われていない「沖縄人労務者」の名簿を各町村の集会所に公告し、賃金を受け取れるようにするための措置を講じるよう、軍政府が沖縄民政府知事に命じています。

 

1947年12月5日付の下の文書「Payment of Accrued Wages」も、未払い賃金に関するものです。賃金が未払いのままとなっている者の名簿が作成されたものの、この名簿はローマ字で書かれていたため、同姓同名となってしまう者が多く、十分な役割を果たさなかったようです。

 

これら賃金未払いに関する文書は、 『対米国民政府往復文書 1947年 受領文書』(資料コードR00165448B)に収められています。