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布告・布令・指令等(7)通貨の変遷~ドル切替

総務局渉外広報部 文書課「布告・布令・指令等に関する書類」から、米国統治下の琉球列島における通貨制度の変遷のうち、ドル切替に関する布令を紹介します。

米国統治期には通貨制度がいくたびも変遷しています。1948年7月には、B円(B型軍票)が琉球列島における唯一の法貨と定められましたが、10年後の1958年、今度はドルへと通貨が切替えられます。

 

ドル切替え:高等弁務官布令第14号「通貨」

1958年9月15日、米国民政府(USCAR、1950年12月設立)が発した高等弁務官布令第14号「通貨」によって、琉球列島における唯一の法定通貨は、B円からドルに切替わりました。

   

第1条「U.S Dollar Legal Tender / 米国弗法貨」には、それまでのB円に加えて、1958年9月16日から「米国弗」を法定通貨とすること、そして9月20日からは「米国弗」が「琉球列島における唯一の法貨」(the only legal tender in the Ryukyu islands)となるとしています。

第2条「Rate of Exchange / 交換率」は、「B円で表示されたすべての債務、税金、関税、罰金、判決及び金銭的義務は120B円対1弗の比率で米国弗に換算する」としています。B円とドルとの交換率については、1950年4月12日に出された軍政府布令第6号「琉球列島における軍のB円交換率」の第1条「Conversion Rate Change / 交換率の改定」で、120 B円=1ドルと定められましたが、それと同じ交換率となっています。

また、第3条「Use of Type “B” Yen and Other Currencies Prohibited / B円その他の禁止貨幣の使用」では、B円その他の通貨を「使用する意志をもって所持すること」(the possession with intent to use)を禁じ、第4条「Unlawful Circulation and Counterfeiting / 不法流通及び偽造」では、ドル以外の貨幣を「流通せしめる意志をもって製造、所持、発行又は流通せしめること」( to make, possess, issue or put in circulation any bill or coin, intended to circulate as money)を「不法」としました。

 

ドルへの交換もれに対する救済措置:高等弁務官布令第15号「通貨交換」/同第16号「通貨交換期間の延長」

こうして、琉球列島における唯一の法貨はドルとなりましたが、B円からドルへの交換の期間は、2度にわたって延長されました。

まず、9月20日に高等弁務官布令第15号「Currency Conversion/通貨交換」が発せられます。

ドルへの交換期間は9月20日に終了しますが、「個人的に通告を受けなかった者又は止むを得ない事由により交換をすることができなかった者があり得る」として、B円の「善意の所有者」(any bona-fide holder)に「経済上の損失を生じない相当の措置を執る」としています。ここでは、9月30日までの間、金融機関や、金融機関がない地域では地方郵便局において、ドルへの交換が認められました。

さらに、10月2日に出された高等弁務官布令第16号「通貨交換期間の延長」によって、交換期間は11月29日まで延長されました。

 

11月29日までの間、那覇にある琉球銀行本店に対して、B円の交換を申請できるとしています。琉球銀行は、申請内容を認めたときは当該B円をドルと交換する権限を有すること、また、琉球銀行が交換を拒否した場合には、申請人は米国民政府の民政官に提訴でき、民政官の認可もしくは却下をもって最終決定とすることも記されています。

 

高等弁務官布令第14号「通貨」によって、1958年9月に琉球列島の唯一の法定通貨がB円からドルへと切替えられた背景には、経済開発を推進するためには外資を積極的に活用する必要があるとの立場から、貿易や資本取引を大幅に自由化していく流れがありました。

米国民政府は、ドル切替と同時期に高等弁務官布令第11号「琉球列島における外国人の投資」(1958年9月12日)を発し、ドルによる資本や利潤の自由送金、地元資本と提携なしの単独投資を認めるなど、積極的な外資導入政策を打ち出しています。

ここで取り上げた布令は、『高等弁務官布令/High Commissioner Ordinance 1957年~1969年 第001号~第063号』に含まれています。

参考文献:牧野浩隆「通貨制度」「ドル通貨制」『沖縄大百科事典 中』(沖縄タイムス社、1983年)、牧野浩隆『戦後沖縄の通貨 下』(ひるぎ社、1987年)、山城新好「外資導入政策」『沖縄大百科事典 上』(沖縄タイムス社、1983年)

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