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琉球政府文書

ドル切替のインパクト ― 琉球政府立法の改正作業

1958年9月、琉球列島の通貨はB円からドルに切り替わりました。これにともない、B円で表記された金額の記載をもつ琉球政府立法をドル表記に改めるため、大規模な改正作業が必要となりました。

 

1958年9月のドル切替

1958年9月15日に米国民政府(USCAR)が発した高等弁務官布令第14号「通貨」によって、琉球列島における唯一の法定通貨はドルと定められました。

また、同布令の第2条「Rate of Exchange / 交換率」で、B円とドルとの交換率は120B円=1ドルとなりました。

 

ドル切替にともなう大規模な改正作業

通貨のドル切替にともなって必要となったのが、B円での表記をもつ琉球政府立法の改正作業です。各種料金や罰金など、法文中にB円で金額が書かれている法律は数多く存在したため、それらをドル表記に改めるための改正作業も、膨大な数にのぼりました。

総務局 渉外広報部渉外課『に関する書類 1959年 1』(R00000908B)は、ドル切替の翌年にあたる1959年の立法に関する文書をまとめた簿冊の1つです。

B円表記をドル表記に改める立法が数多くなされたため、簿冊の冒頭にある件名一覧ページには、「〇〇〇(既存の法)の一部を改正する立法」という名称が並んでいます。

 

B円表記からドル表記へ

そのなかから「海上運送法の一部を改正する立法」を紹介します。

「海上運送法」(1952年立法第64号)は、「海上運送の秩序を維持し、海上運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進すること」を目的としたものです。



 「海上運送法の一部を改正する立法」の主管局は工務交通局です。

立法案に付された「改正理由」には、「通貨切替えに伴い、B円表示をドル表示に改めるための一部改正である」とあります。​


工務交通局の立法案では、全体的に120B円=1ドルという交換率よりも高い金額で、ドルへの改正がなされています。

「登録料の納付」について定めた第42条の「3百円」(2ドル50セント)は、「3ドル」に改めるとなっています。

また、第68~74条は「罰則」について定めた箇所ですが、第69条中の「10万円」(833ドル)は「850ドル」、第71条中の「1万5千円」(125ドル)は「150ドル」となっています。

「海上運送法の一部を改正する立法」は、1959年4月7日に立法院で可決されました。

   

可決された立法案では、工務交通局の立法案と比べて、120B円=1ドルの交換率により近い額となりました。

第42条の「3百円」(2ドル50セント)は、工務交通局の案では「3ドル」でしたが、立法院で可決された立法案は、交換率通りの「2ドル50セント」です。

また、第69条中の「10万円」(833ドル)は、工務交通局の案では「850ドル」でしたが「830ドル」となっています。第71条中の「1万5千円」は、工務交通局の案では「150ドル」でしたが「130ドル」となりました。交換率通りでは125ドルですので、罰金の「値上げ」といえるでしょうか。

 

このようにB円表記をドル表記に切り替える琉球政府立法が、ドル切替にともなって数多くなされました。通貨の切替が沖縄社会に与えた影響の大きさが、こうしたところからも読みとれます。

 

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