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あの日の沖縄

1947年8月13日 伊波普猷死去

 この日、「沖縄学」の父といわれる伊波普猷が死去しました(享年71歳)。

伊波普猷『古琉球』(1916年 糖業研究会出版部)より【T00013795B】
 伊波は、言語・文学・歴史・民俗などを統合した沖縄研究の創始者として知られ、おもろそうし研究にも功績を残しました。『古琉球』『沖縄歴史物語』など多数の著作があります。
 伊波の13回忌にあたる1959年(昭和34)、有志によって顕彰事業が計画され、1961年(昭和36)、浦添城址の南面に伊波の墓と顕彰碑が建立されました。命日である8月13日には、顕彰会のメンバーと浦添市が中心になり、伊波の雅号「物外(ぶつがい)」にちなんだ「物外忌」が行われるようになりました。 当館所蔵「岸秋正文庫」の中から伊波の著作の一部を紹介します。

伊波普猷『古琉球』(1911年 沖縄公論社)初版【T00013794B】
 琉球諸島を研究の対象とする「沖縄学」を確立した沖縄研究の古典的名著。
 
伊波普猷「キャプテン・クックの布哇(ハワイ)探險と彼の死」『犯罪公論 第3巻第1号』(1933年 文化公論社)【T00004638B】 『犯罪公論』は昭和6年12月に創刊。

 当時の世相を反映し特に殺人、性犯罪、国際的な社会問題等を取りあげた月刊の大衆雑誌。弁護士や医学博士等執筆者も多く、伊波普猷の「布哇産業史の裏面」などは、植民地政策における資本主義の実態が伺われるものとして注目されました。沖縄だけにとらわれない伊波の一面がうかがえる論文です。
 当館の閲覧棟入り口上部に、伊波が詠んだ琉歌を刻んだ石板を掲げています。


「深く掘れ己の胸中の泉 餘所たよて 水や汲まぬごとに」 伊波普猷
 これは、ドイツの哲学者であるニーチェの箴言(しんげん)「汝の立つ所を深く掘れ 其処には泉あり」を伊波が琉歌に翻案したものです。
【参考引用文献】
・外間守善/比屋根照夫/比嘉実『伊波普猷 年譜・著書論文目録』(1976年 伊波普猷生誕百年記念会)【T00004344B】
・比屋根照夫「大正末期の思想史的断面 柳田国男と伊波普猷」『沖縄史料編集所紀要 第7号』(1982年 沖縄県沖縄史料編集所)【G00012428B】
・中本正智「伊波普猷」『沖縄大百科事典 上巻』(1983年 沖縄タイムス社)【T00000187B】
・比嘉実「古琉球」『沖縄大百科事典 上巻』(1983年 沖縄タイムス社)【T00000187B】
・『伊波普猷全集 第11巻』(1993年 平凡社)【T00000359B】
・岸秋正「我が青春の思い出」『南島史学 第24号』(1996年 南島史学会)【T00011107B】
・粟国恭子「伊波普猷と末吉麦門冬(安恭)の交流-明治末期から大正末期にかけて-」『浦添市立図書館紀要 第8号』所収(1997年 浦添市教育委員会)【G00018654B】 
・仲程昌徳「岸文庫、近代関係図書の魅力」『沖縄県公文書館特別展~沖縄へのまなざし~ 岸秋正文庫の世界』(1997年 沖縄県公文書館)【0000063798】
・『沖縄県公文書館特別展~沖縄へのまなざし~ 岸秋正文庫の世界』(1997年 沖縄県公文書館)【0000063798】