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USCAR文書

マッカーサー記念館所蔵沖縄関係資料の公開

米ヴァージニア州ノーフォーク市マッカーサー記念館から収集した沖縄関係資料を公開しました。(平成23年6月13日)
マッカーサー記念館(the MacArthur Memorial)
マッカーサー記念文書館・図書館(Douglas MacArthur Memorial Archives and Library)

出所

マッカーサー記念館(the MacArthur Memorial)
マッカーサー記念文書館・図書館(Douglas MacArthur Memorial Archives and Library)

資料群解説

 マッカーサー記念館は、記念展示館、映画館、売店、文書・図書館の建屋で構成され、マッカーサーが保管していた文書や蔵書、勲章、そのほかの所有物を所蔵しています。ノーフォーク市が、マッカーサー記念財団が一般から集めた募金を資金として、同館を運営しています。文書・図書館には、5,000 冊の図書や約200万点の文書、86,000点の写真、130冊の写真アルバム、111本の映画に加えて、録音記録や新聞、希少本、スクラップブック、マイクロフィルムなどが所蔵されています(2011年5月時点)。
 当館がマッカーサー記念館から紙コピーとマイクロフィルムで収集した資料は、マッカーサーが米国太平洋陸軍総司令官(後に極東軍司令官)や連合軍最高司令官として沖縄を統治していた時代に関するものを中心としています。また、この時代に関連する日本本土やフィリピン、朝鮮に関する資料も多く含まれています。

シリーズ解説

マッカーサーと沖縄

 ダグラス・マッカーサー(Douglas MacArthur)は、米国統合参謀本部(Joint Chiefs of Staff, JCS)により、1945年4月3日付けで米国太平洋陸軍総司令官(Commander-in-Chief, United States Army Forces, Pacific, CINCAFPAC)に、1945年5月9日付けで日本における軍政長官に任命され、日本本土攻略計画の作成を命じられました。また、1945年8月15日には、トルーマン大統領により、連合軍最高司令官(Supreme Commander for the Allied Powers, SCAP)に任命され、ポツダム宣言の降伏条項を履行する権限が与えられました。
 琉球列島の日本軍は、連合軍最高司令部(General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied Powers, GHQ/SCAP)の「指令第二号」(Directive, No.2, 1945. 9. 3)に従って、米国太平洋陸軍最高司令官に降伏しました。その後、沖縄は、米国第10軍(Tenth United States Army)将官スティルウェル(General Joseph Stilwell)の訓令により、占領管理が行われるようになりました。また、沖縄の軍政府は、1945年9月21日海軍に移管され、1946年7月1日にはマッカーサー元帥の指揮する陸軍に移管されました。
 沖縄は1946年1月29日、マッカーサーの指令により、日本政府の施政権から公式に切り離され、軍政府の方針がいっそう恣意的に出されるようになりました。沖縄では、日本本土とは異なり、平和主義や主権在民、基本的人権の尊重に基づく日本国憲法が適用されず、裁判なしで禁錮されるなどの人権弾圧もしばしば見られるようになりました。マッカーサーは、高まる沖縄県民の不満や国務省の政治的な配慮も考慮し、1948年8月、沖縄県民にある程度の自治権を付与するための指令を出しました。その結果、1950年7月民政裁判所が設置され、1952年4月には琉球政府が発足し琉球政府を通じて県民を統治する準間接統治の管理方式が採用されるようになりました。
 米国太平洋陸軍は1947年1月に再編され極東軍(Far East Command, FECOM)となり、以後、マッカーサーは極東軍司令官(Commander in Chief, Far East Command, CINCFEC)として、極東海軍と極東空軍も統轄するようになりました。また、それにともない、極東軍の配下の西部太平洋陸軍(US Army Forces Western Pacific, AFWesPac)も、フィリピン・琉球軍(Philippines-Ryukyus Command, PHILRYCOM)と改称されました。
琉球軍(Ryukyus Command, RYCOM)は、1948年8月1日、フィリピン・琉球軍から独立することになりましたが、これは、沖縄占領がアメリカの軍事戦略にとって要であったためです。つまり、アメリカ以外の連合国からの干渉を受けないために単独占領が意図されたのでした。
 朝鮮戦争が始まると、マッカーサーは、国連軍司令官(Commander in Chief, United Nations Command, CINCUNC)に任命され、仁川上陸作戦(資料コード:0000099657)を成功させました。しかし、核兵器の使用を主張したために、トルーマン大統領によって、連合国最高司令官および極東軍司令官、国連軍司令官の任を解かれました。

RG(レコード・グループ)

 マッカーサー記念館所蔵文書を構成する各レコード・グループ(RG)の詳細内容は以下の通りです。ここでは、沖縄県公文書館に所蔵されている資料の紹介となります。
1.RG4
 RG4の資料は、マッカーサーの専属幕僚が保存した記録のみで、主に、米太平洋陸軍(U.S. Army Forces, Pacific, USAFPAC)に関する文書で構成されています。トップシークレット文書「フィリピンと沖縄における戦後の開発計画に関する研究レポート(Staff Study “Relevant,” Post War Development Plan for Philippines and Okinawa)」(資料コード:0000099593)が含まれています。

2.RG5
 RG5の資料は、マッカーサーの専属幕僚が保存した記録のみで、対日占領期(1945年~1951年)における、連合軍最高司令官の統治機能に関する文書で構成されています。
RG5には、国家安全保障会議(National Security Council, NSC)が作成したトップシークレット文書が含まれていますが、1948年10月7日付の対日政策に関する報告書(NSC 13/2)(資料コード:0000099597)では、沖縄を長期にわたって海軍の基地とするべきとする見解が記されています。また、1949年5月6日付の報告書(NSC 13/3)(資料コード:0000099597)でも、沖縄を長期保持する意図が見られます。
 その他、RG5には、次のような、統合参謀本部が作成したトップシークレット文書も含まれています:台湾の戦略的重要性が述べられている1950年7月21日付の報告書(JSC 1966/34)(資料コード:0000099061)、日本が保持する軍事力の増強の必要性について述べられている1950年12月28日付の報告書(JSC 2180/2)(資料コード:0000099061)および1951年1月9日付の報告書(JSC 2180/3)(資料コード:0000099601)。

3.RG6
 RG6の資料は、一般往復書簡、朝鮮戦争に関する往復書簡、公的・私的な手紙、指令、報告書などで構成されています。その中で、極東軍に関する公式記録文書は、マッカーサー記念館によって、米陸軍省高級副官部(Adjutant General of the Army)もしくは米国国立公文書館(the United States National Archives and Records Administration, NARA)から収集されました。
 沖縄県公文書館が収集したRG6の資料には、紙とマイクロフィルムがあります。紙資料には、極東軍総司令官合同委員会議事録(資料コード:0000099606)とGHQ広報局による占領状況に関する報告書(資料コード:0000099607)の2ファイルがあります。マイクロフィルム資料には、”GUNPOWDER”、”LINTER”、”STRETCHABLE”、”STRONGBARK”、”STRING” (別名 “HEDGEROW” もしくは “BLUEBONNET”)、Eighth U.S. Army Operational Plan、CINCFE Operation Planなど、多くの戦争計画関連資料が収められていますが、それらすべてを1つのマイクロフィルム(資料コード:0000099657)で見ることができます。その中の1つ”GUNPOWDER”は、極東軍総司令部が作成したトップシークレットの作戦計画で、「極東軍各部隊が全面的非常事態においてとるべき初期行動に関する指令の基礎」として用いられました。また、同計画の基本概念の1つは、沖縄に関係していて、「日本や琉球、マリアナ諸島、ボニン(小笠原)諸島の確保とフィリピンにおける米国の軍事責任の遂行」となっています。

4.RG9
 RG9の主な資料は、1945年6月から1951年4月までに送受信された無線電報(radiograms)で、当館所蔵の資料は紙とマイクロフィルムで構成されています。
 紙資料について、量の多いものでは、沿岸警備関連資料(資料コード:0000099617、0000099618、0000099620、0000099621)や復興支援関連資料(資料コード:0000099632、0000099634、0000099635、0000099641)、基地関連資料(資料コード:0000099625、0000099630、0000099631、0000099639、0000099641、0000099643)があります。
 マイクロフィルムの資料については、フィリピン軍(PHILCOM)関連資料(資料コード:0000099659)やフィリピン・琉球軍(PHILRYCOM)関連資料(資料コード:0000099659、0000099660、0000099661、0000099662)、琉球軍(RYCOM)関連資料(資料コード:0000099663、0000099664、0000099665、0000099666、0000099667、0000099668、0000099669)があります。

5.RG10
 当館所蔵のRG10の資料は、「沖縄の日本本土からの分離を回避するための目的で、東京在住沖縄人からマッカーサーに宛てられた陳情文」(資料コード:0000099645)の1ファイルのみです。

6.RG15
 当館所蔵のRG15の資料には、「報道記事の要約集や沖縄群島攻略に関する報告書、写真等」(資料コード:0000099646)そして「軍事行動日誌(1901st Engineer Aviation Battalion)や新聞(Battalion Bandwagon)等」(資料コード:0000099647)の2ファイルがあります。

その他

 マッカーサー記念館所蔵文書の略語については、次のWordファイルにある略語リストが参考になります。
略語リストのタイトル:List of Acronyms: Key to Message Folder Titles(8~16頁)
URL:www.gale.cengage.com/pdf/scguides/macarthur/RG-09.doc

【作成期間】1942年~1951年
【数量】108簿冊
【資料種別】文書
【公開年月】2011年5月
【沖縄県公文書館における分類】沖縄県公文書館資料/その他資料/文書/米国収集資料/マッカーサー記念館
【主言語】英語
【収集方法】ゼロックス・コピーおよびマイクロフィルム
【公開・非公開】公開
【利用制限/複写制限】無/無
【検索ツール】沖縄県公文書館資料検索データベースARCHAS
【沖縄県公文書館所蔵関連資料群】
国務省
国防総省/統合参謀本部
国防総省/極東軍・連合国総司令官・極東軍総司令部
【主な参考文献】
宮城悦二郎「ライカム」『沖縄県大百科事典』上、(沖縄タイムス社、1983年)、847~848頁
新崎盛暉「基地建設ブーム」『沖縄県大百科事典』上、(沖縄タイムス社、1983年)、828頁
竹前栄治『GHQ』(岩波書店、1983年)
豊田真穂「国立国会図書館憲政資料室所蔵 マッカーサー記念館文書解題」『参考書誌研究』第62号(2005年3月)、259~288頁
マッカーサー記念館ホームページhttp://www.macarthurmemorial.org/archives.asp
国立国会図書館ホームページhttp://rnavi.ndl.go.jp/kensei/entry/WOR.php
その他